fnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfn

          メール・マガジン

     「FNサービス 問題解決おたすけマン」

=============================================================

  ★第020号         ’99−11−05★

=============================================================

  

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

     ココロの崩壊

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

●かつて盛大を誇ったローマ帝国

 

が崩壊したのは、北方の蛮族とやらに攻撃されてではない。 ローマ帝国の人々の

モラルが失われ、秩序を維持することが出来なくなったからだ、と申します。

 

情けないけれども、人間の心は簡単に腐敗します。 「奢る平家は久しからず」。

我が大日本帝国の崩壊も、そう遠いことではないようです。 近ごろ多発の愉快

ならざる事象群を見れば、確信が深まるというか、期待感が高まるというか、、。

 

 

そんなことを想いながらある日、会田雄次教授の「日本人の忘れもの」を読み直し

ました。 この本が出されたのは昭和47年、もう四半世紀も前のことでした。

我が国の前途を率直に「かなり悲観的」とされながらも、「心の腐敗」を「何とか」

したい、という「いささか追いつめられた願望から」執筆された本です。 冒頭に、

 

「25年後の日本、、、、の主たる担い手は今日の30歳代だ。 現在の30歳代

は、その育った環境ゆえに、まともで純情だが、気が弱くて、こらえ性がなく、

激しやすい。 その人々が現在よりはるかに勤労意欲が乏しく耐久性がなく、

自我意識だけがアンバランスに大きくなった人々を引っぱって行かねばならぬ、、、」

 

とありますが、まさに的中ですな。 しかもその25年の間にバブル現象も生じて、

具合の悪さがさらに増幅されてしまいました。 「もう絶望的としかいいようの

ない現実の教育界」とも書かれていますが、以後、劣悪化したものはあっても、

好転の兆しが見えたことは無い。  もはや、絶体絶命。

 

*   *

 

次々色々起きるので大事件もたちまち風化してしまうが、ほら「継続は力なり」、

JCOの教訓は心に刻んでおかなくては。 あれも腐敗と教育欠如から出たウミで

した。 バケツを使って10年、つまり10年前にはすでに腐っていたわけ。

それはOBの言葉で(するともなく)証明されていました。  田口ランディの 

 

***************

 

 

●「マジカルミステリーツアー」10月9日、17日

の「臨界事故をめぐる元JCO社員との往復書簡」、読まれましたかな?

 

   「元社員」は菅井弘氏。辞めたのは15年前。 その当時は未だ、バケツは

   使っていなかったそうです。 要旨はある角度からのJCO弁護、それを

   ややウラミ節で。 「弁護」には必ずしも賛成しませんが、「ウラミ」には

   元製造業の私にも共感できるところがありました。 たとえばJCOは、

 

「重要性のわりに、社会的に以上に軽視されていると在職中から感じてい」た。

 

   原子力だけではない。 戦後長らくの「工業立国」においてすら、工業全体、

   ろくに敬意が払われることが無かった。 何故か我が国、働かない、手を

   汚さない人たちのほうが上等、、の雰囲気があります。 その結果、

 

「優秀者が原子力界を去って」しまう。(多分、菅井氏ご自身も。) そして

「この事象の一因は偏見」としておられる。

 

   この論理だと、去らなかったのは優秀でない人々。 だから事故が、、

   ということになりそうですが、それはまさか、いくら何でも、、、

 

「文明を最大限に享受している人々が、原子力のマイナス面だけを題材に、、、

原子力発電の社会的貢献やその意義を称賛することはありません」。

 

   原発を廃止して、停電が日常化すれば、有り難みが分かるかも、、、

 

「原子力関係者はいつも肩身のせまい思いをしており、当然、仕事に充実感を

持てない、、、責任ばかりを押し付けられ、社会的に正当に評価されない、、」

 

   製造業全般も、自衛隊の皆さんも、、で、なり手が少なくなる一方。

 

「大手はともかく、(JCOのような)下請業者は悲惨です。、、、このような

扱いを受けているなかで、モラルの低下があったとしても何ら不思議ではありま

せん。、、、何か事故を起こせば重い社会的責任だけが強調され、日ごろは全く

評価されない。 このようなことが平気でまかり通るのが今の日本です。」

 

   同じ原因で、日本の工業技術を支えると言われる町工場も風前のともしび。

 

「今回の事故は、単に<こんな会社>だけに原因があるのではなく、社会の底辺

を支える人々を虐げる日本の社会構造に本当の原因があると言いたいのです。」

 

   つまり<貧すれば鈍す>? しかし<安全>にまで<鈍>になれるものか?

   こればかりはJCOの<犯罪>を正当化する理由にはならんでしょう。

 

「今回も科学技術庁や政府は、弱者の切り捨てで解決を図ろうとするかもしれま

せん、、。 管理および監視体制等の規制強化で対処しようと、、。 しかし

ながら、このような解決策では、本当の意味で今後の事故再発を防止できないの

ではないか、、、。 今回の事故で責任を問われるのは、JCOのみではないはず。

特に科学技術庁の責任は追及さるべき、、、。」  

 

   JCOの認可取り消しは確実だし、親会社住友金属鉱山も撤退させるよう

   だから、「切り捨て解決」の方はすでに段取りが出来上がっております。

   問題は科技庁、これは「お役所」ですからねえ。 永遠のモンダイ!

 

「米国EPA(環境保護局)やNRC(原子力規制委員会)を訪問」して「日本

の安全監視体制とは全く異なり、実務作業をこなせる監督官庁として機能して」

いることを知り、「日本では科学技術庁や原子力安全委員会がありますが、実務

をこなす組織ではありません。、、、とても責任を問える機関ではない、、」と。

 

   やはり勝海舟の観察通りですな。エライ人が全然エラくない。 TVに出た

   科学技術庁長官殿は、「対応は速かった。対策委員会を設置した。 現地の

   対策委員会と連携して今後、、」とのたまわったが、アタマオカシイぜ。

 

   何か起きるたび、別の何かを設置するのがお役所式。 形だけの役職の限り

   ない増殖。  ゼロは何倍してもゼロ、なんですがね。

    

「日本では、施設や装置に頼る安全性を重視し、そこで働く人々の、人間として

の尊厳や仕事への意欲等を高めるためにお金をかけることを忘れています。」

 

   たしかにそうも言えるが、JCO事件とは直接に結びつけられませんな。

 

*   *

 

論理的な前後不一致が見られるのは、それほどに菅井氏、心おだやかではいられ

なかったということでしょう。 原子力関連を最先端事業だと思っていましたが、

第一線はひどく追い込まれている(らしい)ことが分かりました。 役職者はいる

が、マネジメントは無い?!  会見に出た管理職たちのあの様子でも、、ね!

 

***************

 

 

●この事故に対するアメリカでのTV取材、

 

同種の燃料加工会社の社員がレポーターに、「恥を知るべきだ。 我々の業界にも

影響が及ぶのだから、、」。  ほーら、もう国内問題じゃなくなってるんだぜ。

 

また、その企業の周辺住民の声の一つ、「バケツを使う無神経、、」。 テロップ

にはそう出たが、用いた言葉は ignorance 。 即ち無知、無学。

 

  知っていたのにそうしなかった、のなら「無神経」だろうが、JCO自身の

  説明でも、辞書にある通りの ignorance が原因となった臨界事故。 訳者が

  ヘンに気をつかって緩和的に表現したのこそ「無神経」な意図的誤訳です。

  言葉をボカすと問題解決からは遠ざかる。 ダメなものをダメと報道するのが

  マスコミの威力だろう、と思うのですが、、、。

 

もちろんアチラでは、民間事業所に対するNRCの指導・監督も徹底しており、

設備は自動化されて人為的ミスの余地なし。 マニュアル類はズラリと整備され、

立入検査は年10回も! 敷地は広大で、周辺数キロ隣接するものなし。 しかも

なお、事故発生を想定した避難救助訓練を関係機関と協力して実施している。

 

 

すべきことをすべてしているアチラは「あるべき姿」、こちらの「現実」が何と

かけ離れて見えることか。 いや、「見える」で思い付いたが、コチラのお歴々も

視察旅行などには出かけ、それらを見ているはずなのだ。  ただ、見ただけ?

 

たしか日本人、コピーするのは国民的特技なのに、、、。 そうか! ハードは

「見えた」から似せて設置することが出来たが、ソフト、即ち運営の仕組みなる

ものは目に見えにくいので、真似しようがなかったのでしょうな。

 

*   *

 

事故を起こさないよう、最善の努力は尽くす。 それでも「万一」は、やはりあり

得る、と考える。 その時どう連携して対処するか、それは単に想定するだけでは

ホンモノにならない。 訓練を重ね、その中からも見いだして行くべきもの。

 

***************

 

 

●Y2K問題についても同様

 

だと言われていますね。 いくらチェック(予防対策)したところで、どこかに

バグは残り得る。 だから、トラブルは起きると考えるほうが現実的。 アチラでは、

大統領の号令で、その考えに基づいたY2K体制を敷いているという。

 

コチラでは、どんな根拠でか知る由も無いが、「大丈夫」の政府見解。 だいたい、

破滅的状況を想定するのが嫌いなんでしょうな。 よく気づく人が何か提案しても、

「何を言うか。縁起でもない!」なんて一喝されてしまう。 耳に快い話しか受け

付けないトップは多い。 政府も役所も、でしょうな。 だからウカウカ発言して、

自分から嫌われることはすまい、、かな?  こりゃ「思考放棄」とでも。

 

 

「万一」が発生したとき、「それならこうする」というシナリオが準備されていれ

ば、ウロタエルことが無くて済むだろう。 その体制を築こう、、、これは一種の

プロデューサー感覚ですな。 そういうタイプの人がアチラにはいるのでしょう。

 

が、コチラにはいないらしい。 また、いても用いられない。 いずれトラブル

は起きるに違いありませんが、、、例によって、責任の所在はワカランでしょう。

 

*   *

 

JCO事件における科技庁、非加熱製剤HIV患者発生における厚生省、イジメ

や学級崩壊における文部省、バブル現象や金融不祥事における大蔵省、、 

我が国では監督官庁が謝罪したり、責任者が処罰されるということが絶えて無い。

一人か二人、黙ってトイレの窓から飛び降りたりするくらいで、、、

 

大所高所から見ることが出来、広く声をかけることが出来、必要なら強制力すら

発揮しうる立場の人が公然たる職務怠慢。  全く税金泥棒、国家反逆罪!

 

*   *

 

古くは日米開戦の時、外務省の不手際で「通告なき戦闘開始」をしてしまった。

最終的にはタイプを打つのに手間取ったという。 当時の常識に従うなら、たとえ

口頭でも、1分前でも、宣戦布告しさえすれば良かったのに。

 

形式にとらわれて「すべきこと」を怠り、今に至るまで「ダマシ討ち」の汚名を

我々に被らせる元凶となった外務省職員。 どう見ても国に対する反逆罪なのに、

罰せられるどころか昇進したという。  つまり、彼らを誉めてしまったわけ。

 

これでは、意図的にダマシタ、としかアチラの目には映らなくて当然です。 その

ため、「卑怯な日本人」が世界史の定説になってしまったし、公務員の職務怠慢

や別世界的非常識が大手を振ってまかり通る国になってしまった。

 

*   *   *

 

「口から出任せ」の野村サッチー女史を不起訴処分とした東京地検特捜部もやや

別世界ではありませんか。 選挙候補者という公的立場での経歴詐称や重婚が公然

OKとは、ね!  もう、何でもありなんだ、今や。  無法の国、日本!

 

*   *   *   *

 

お役人だけではない。 あの玄倉川遭難の主人公は一般人。 一丁前の成年男女が、

一切の警告を無視した結果でした。 お気の毒ではあるが、アメリカでは警告無視

は逮捕ものだと(招かれてTVに出たアメリカの)専門家が解説していました。

 

自分の考えを優先させる、それは誰にもあることだろうけれど、その影響や結果

に思いを致すならば、容易にそうは出来なかったはず。 それを敢えてしたのは、

第一にジコチュウ、第二に愚か。 ご本人たちはそう思っていなくとも、傲慢です。

 

孔子様の言葉にも「自信過剰でしかも正直さが無く、愚か者でありながら慎みを

知らず、真面目そうにしているけれどもその場限り、、そんな奴、私は知らんよ」

(泰伯第八:子曰く、狂にして直からず、、) 付き合ってくれる人はいないよ。

 

海外旅行で羽目を外す姿も、残念ながら我々の本質の表われ。 崩れているのは、

決して「一部」ではないのです。 カネを落とす旅行者だから我慢してくれている

だけ、と申します。

 

***************

 

 

●こうしたいくつもの例

 

に共通していると言えるのは、「ココロの崩壊」現象。 JCO臨界事故は単に

氷山の一角でしかありません。

 

 

会田雄次教授の著作を愛読していた私は、ある時の講演を聴きにも行きました。

お話のされ方は必ずしも魅力的とは言い難く、メモに目を落としたまま、低い声。

淡々、と申し上げたいが陰々滅々。 眠ってしまった人も多かった。

 

終わって型通り、「何かご質問、、?」と司会者。 見回したところ、一人も手を

挙げない。 そういうの、聴講者としては礼儀に反するんですよね。 で、特に何を

というアテも無いまま挙手。 「はい、どうぞ」

 

「えー、お話の筋からしますと、先生は我が国の将来に絶望していらっしゃるよう

ですが、、?」「はい、その通りです。」 「何か、打開の方策は、、?」「ダメで

しょうね」  まあ、率直というか、にべも無いというか、見切られた感じでした。

 

分からなくてした質問というより、念押しみたいなものですから、さすが質問魔

の私もそこまで。  ともかく、ノストラダムスよりは確かでしょう。

 

***************

 

 

●前号で紹介したC.E.ソレンセンは

「フォードのよき管理者」の条件として10項目を挙げています。 即ち、

 

1)清新質朴 2)知力 3)教育 4)特殊な技術能力 5)機転

6)活力と胆力 7)正直さ 8)判断力 9)常識  10)健康

 

 

「これらの資質を四つか五つ持つ者はまれである。 六つ、七つを持つ者は

ほとんどいないと言ってよい。 そこで、全体としてこういう資質すべてを

必要とする組織は、仕事を分けねばならない。 職責の分割と専門分化、、、

 

40年以上も経った現在、私はヘンリー・フォードがどうしてこの組織

形態に気づいたのか、と舌を巻いている。 彼は、、、分権していた。」

 

現代の組織ないし分権には現代に相応した根拠があるはずですが、これら

基本的な良き「心」の要素が、果たして組み込まれているか、どうか?

 

*   *

 

皆さんは、忙しい毎日を送っていらっしゃる。 それは、分かります。 が、

「忙」は分解すると「心」と「亡」。  「忙しい」とは、心を失った状態だ

と言うではありませんか。  しかしそれではまずかろう。

 

*   *   *

 

自分の心に「出会う」にも、それに磨きをかけるにも、何か手がかりが

必要です。 その手段はいくつもあるでしょうが、優れた人の書いたもの

を読むのが、色々な角度から見てベストだろうと私は思います。

                          ■竹島元一■

================================================================

fnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfnfn

                       ■ホームページへ戻る